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日々のこと、「地球へ…」のことソルジャーブルーのこと。その他ラクガキ。

2025

0407
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2008

0422
本日、何もないところで朝転び、パンツスーツの膝を両方破いてしまいました。しかも流血。両膝と両手に大痣ですorz

最近朝起きれなくなってきました…。かなりがんばってますが原稿終わらない(号泣)。ボケてたんでしょうか。
そして朝現実逃避に電車で書いた「楔」のあとに当たるSSをアップしてみました。
私の書くお話で、ブルーがしあわせなところってあまりないので…そこだけ強引に抽出して書いているので意味不明かもしれません…。そのうち下げてアップしなおそうとおもいます。

それでも笑ってほしかったのです…ブルーに!

虚空の暗闇に浮かび上がる細く鋭利な光。そっと近づいていけば、彼の横顔が見えてきた。

ゼルと一緒に不眠不休で、昨日から食料倉庫のクラックを塞ぐ作業に没頭しているハーレイ。ひどく疲れた表情に胸が締め付けられる。サイオンを纏い宇宙を漂う僕は、外壁の見回りの合間にその様子をステーションの外側から見ていた。
必要以上に長く見つめていれば、視線に気付かれまた後で叱られてしまうから。僕は渋々その場を後にした。
本当はそのやりとりすら楽しんでしまうのだけれど、疲れた彼をわざと困らせるほど子どもじゃない。

大体、彼の方がずっと年下なのだ。


「a tasty sweets」


この人類に廃棄された宇宙ステーションに僕たちミュウが着いてから、まだ10日も経っていない。必要以上に電力を使えば彼らのレーダーに反応してしまう恐れがあるので、最低限のエリアのみ自家発電を起こし生活している。それでもあちらこちらに空いたクラックを塞ぐまでは、宇宙服を着なければならない通路が何ヵ所かあった。
成人社会に出ていて宇宙ステーションの構造にも詳しいハーレイと、エネルゲイア出身で工学に明るいゼルがその修復作業をかって出てくれた。僕は宇宙服を着なくてもサイオンバリアで過ごすことができる。だから手で持ち運びできるブロック間の物資の運搬と、ステーション外の監視は僕の担当になった。そして今のところ、人類軍の気配はこの付近にはまったく感じられない。

僕に少しだけ備わった予知能力と、残留思念を感知するサイオン。
この廃虚に対する人類の包囲網はもう随分と昔に途絶えている。

それでも僕はステーションの周りを一応二巡してから、寝室があるブロックへ大きく開いたクラックから戻った。通り際に今日分のミネラルウォーターを配給ボックスから取り、あまり味のしない固形食の包みも二つ胸元に入れる。

収容所生活が長かったせいか、僕はあまり量を食べなくても平気だった。そして、未だに食べ物の味がよくわからない。最初は粗末な固形食や最低限の量の食事が原因だとおもっていたが、ここで初めて口にしたビスケットという菓子の味が僕にはわからなかった。
少し違う匂いはしたけれど、いつもの固形食と同じ味。パサパサとしていて、唇と喉に貼り付くもの。涙ぐんでいたエラにあげようとしたら、すごい勢いで怒られた。
それはブルーの分だからきちんと食べてください。私はもっと欲しくて泣いたんじゃないからと。
皆まで口にしなかった彼女のおもいは痛いほど伝わってきたから、僕もそれを口に押し込んだ。
一部始終を見ていたヒルマンが、後で僕の味覚障害を心配して色々と検査をしてくれた。でも十分な機材も医薬品もない今は、定期的に食事しその味を感じるように意識して過ごすしかないようだった。
その時も、ずっとハーレイは側にいてくれた。まるで味がわからないのは自分みたいな顔をして。

部屋に戻りベッドに寝そべる。皆で相談して、寝室だけはめいめい個室を使うことにした。こころを遮蔽しなければ、互いの考えが読めてしまうミュウ。今まではそれが当然だった。
だがつかの間でも僕らにとって初めての、広いこのオアシスを見つけたのだ。せめて身もこころも休める贅沢だけは持ってもいいのではないかというのが大多数の意見だった。
僕は皆に従った。ハーレイのようにこころを遮蔽できないミュウや弱いサイオンの者もいる以上、無理に固まって眠る必要はないだろう。もちろん電力消費の関係上、他のミュウは宇宙服を着たまま眠るのだけれど。つくりの小さなこのベッドでも、小柄な僕には十分な大きさだ。ハーレイは膝を曲げないと眠れないって言ってたっけ。その様子を想像しておもわず笑みが出る。

あの日から、僕は笑ってばかりだ。
そう、ハーレイが僕の家族になった時から。

早く帰ってこないかな。何回もゴロゴロしてみる。足をバタバタさせてみる。こんなに誰かを待つのは、楽しくて苦しくて、でもやっぱり楽しい。
ハーレイは僕に色々なことを教えてくれる。
たとえばそう−−−

突然、目の前のドアが開く。
そこにはまだ宇宙服を着たままのハーレイが立っていた。
「ブルー、一緒に食事をしましょう」
「…もう終わったの?」
ふるふると首を横に振ると、彼は笑って言った。
「いえ、食べたら戻ります。でもあなたは食べたらちゃんと寝ること」
その手には水と固形食の包みが握られていた。


「誰かと一緒に食べると、おいしいって感じるものですよ」

ヒルマンの診察が終わった後に、そうハーレイが言ってくれた。
これからは一緒に食事しましょう。いつかきっと、おいしいっておもえるようになりますからと。

あれから毎日、彼は僕の食事に合わせて時間を作ってくれる。
まだ僕には食べ物の味はよくわからないのだけど。
君が言ってくれたこと、今はちょっとだけわかるよ。おいしいって、きっと楽しい気持ちの一部なんだ。だって、こんなに食事が待ち遠しいなんて今までなかったから。それに何だかお腹も空くようになったみたいなんだ。
そう言ったら、やっぱり自分のことみたいに喜んでくれた。

ねえハーレイ。
君がくれたはじめてのことは、いつだって僕を楽しい気持ちにさせてくれる。

ありがとう。
ありがとう。

どんなおいしいお菓子よりもすてきなおもいでをありがとう。
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無題
「それでも笑ってほしかったのです…ブルーに!」
「a tasty sweets」

はじめまして、こんばんは。
ねんねこと申します。

SSを読みました。涙腺がジンワリとしてしまいました。
私もブルーに闇のそっこから救い上げてまらった組です。あの人を想うとまだまだがんばれるって思うんですよ。

こちらのSSは、本当にあったかく切ないですね。

また、よらせていただきます。
ねんねこ 2008/04/23(Wed)19:00:32 編集
ねんねこ 様
こんばんは、こちらこそはじめまして。コメント本当にありがとうございました。
拙いSSにあたたかいお言葉嬉しかったです。
ブルーの持つ儚さや強さが、救救いになるのが不思議なのですが、それも彼の魅力の一つなのだとおもいます。
ぜひ、またお立寄り下さい。
コメント遅くなってしまってすみませんでしたorz
mitsu 2008/05/13(Tue)22:13:07 編集
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